ひとひらですら
拒む意図を感じ取れたなら、屹度手を止めていた。
熱を帯び染まる膚、
指先へ、指腹へ感じる温度が常より高い。
「……意図を以て傷付ける心算など、なくとも
つけてしまうかもしれないだろう、……俺の、手は」
人を、害する手だ。
救いたくて掴みたくて医術を修めても
大事なものを壊すばかりの手に、なってしまった。
するり、生え際からもう少し奥へ
頭皮の薄い脈動を感じるようにゆっくりと触れ
はら、と音も無く外された白い覆い
自ら前髪を払う指先の動きへ、嬉しげに目を細め
手を、無遠慮な程に伸ばして右側を覆う前髪を
五指で搔き上げてしまおうと、する
露わとなれば、ああ、と無意識の感嘆を零し。
きろりと支障なく動く眼球の、はがねの色。
両の金銀が揃う姿に、口許を緩ませ。
「――――相変わらず、きれいだ」 (edited)