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餞その後
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長船光忠 20-Aug-04 PM 03:35
指の腹が肌に触れるのが心地よくて、 けれどもくすぐるような優しい触れ方に、たまらなく頬が熱くて。 不安げに、それでも慎重に触れられるこの指先を、どうして拒めようものか。 「傷つける気なんてないんだろ。  それなら、嫌なことなんて、ひとつもないよ」
眼帯に触れて、その下を知っている瞳は、僅かな欲さえも滲ませているように思えて、 それでも嫌だとは思えないから、厄介だなあ、なんて。 紐に手をかけて邪魔な前髪を軽く払えば君の姿を両目で捉えられることすら嬉しく思えて、 どうしようもなく頬が、唇が、緩んでしまう。
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長谷部国重 20-Aug-04 PM 03:49
ひとひらですら 拒む意図を感じ取れたなら、屹度手を止めていた。 熱を帯び染まる膚、 指先へ、指腹へ感じる温度が常より高い。 「……意図を以て傷付ける心算など、なくとも  つけてしまうかもしれないだろう、……俺の、手は」 人を、害する手だ。 救いたくて掴みたくて医術を修めても 大事なものを壊すばかりの手に、なってしまった。 するり、生え際からもう少し奥へ 頭皮の薄い脈動を感じるようにゆっくりと触れ はら、と音も無く外された白い覆い 自ら前髪を払う指先の動きへ、嬉しげに目を細め 手を、無遠慮な程に伸ばして右側を覆う前髪を 五指で搔き上げてしまおうと、する 露わとなれば、ああ、と無意識の感嘆を零し。 きろりと支障なく動く眼球の、はがねの色。 両の金銀が揃う姿に、口許を緩ませ。 「――――相変わらず、きれいだ」 (edited)
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長船光忠 20-Aug-04 PM 04:05
「大丈夫、……もう、君一人に誰かを傷つけさせない。  苦しみも、罪も、一緒だよ」 本当は優しい君の手が、どうか誰かを慈しむためだけに在ってほしかった。 けれど、そう簡単にはそうさせてはくれないのを知っているから、 それならせめて、共に抱えよう、と。 その手で髪を払われて、開けた視界に、やわらかく笑んだ表情が映り込んで。 容姿の誉め言葉など聞き慣れているはずなのに、君に言われてしまうと、どうしてこうも冷静でいられないんだろうな。 うう、と呻きながら目を伏せそうになって、でもそんな嬉しそうに見つめられては、瞳を隠すことはどうにもできなくて。 「君、あまり、軽々しく人にそういうこと言っちゃ、ダメだよ……」
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長谷部国重 20-Aug-04 PM 04:15
「……痛みは、お前と分かちあおうとも  罪は、俺一人のものだよ 光忠。」 「俺が、俺の意思で、  誰に強制された訳でもなく、…俺が、選んできたんだ」 薄硝子に触れるよりも、慎重に 柔い髪も、温かな膚も指先で感じながら、紡ぐ声は迷いの無いもの。 「けれど、」 「お前が、共に痛みを抱えてくれるなら  俺は、なんだって出来る、…生きていける。  ……俺は、お前を苦しませる以上に、笑わせたいとも、思う。」 五指で搔き上げ露わとさせた額と、目許と 両の目が、薄く伏せられそうになるのを見て、 髪へ差し入れる掌はその儘に 柔い咎めの様に、親指の腹で 右の目尻を薄く撫ぜる 「……軽々しくないさ。」 秘されたものすら、暴きたいと 見たいと、切望する事も 惑う視線ひとつを愛おしく思う事も。 「お前だけだ。」
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長船光忠 20-Aug-04 PM 04:50
「そう、か。強いなあ、君は……」 突き放されたような気持になって、でもそれも君の優しさだと知っているから、否定することすらも、できなくて。 「でもね、ちがうんだよ、君に痛みを増やしたいんじゃないんだ。  もう君に、ひとりで苦しませたくない。今度抱える時は、苦しみも、罪も、僕が一緒だ。  覚えていて、僕だって君に、笑っていてほしいよ……」 人に触れさせることなどない場所に優しく触れられて、奇異な瞳もきれいだなんて褒められて、 君が、僕にだけ向ける言葉があることを知って、 どうしてこんなに、たまらない気持ちになってしまうんだろう。 「っ、もう……どうして、……」
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長谷部国重 20-Aug-04 PM 05:05
「……お前が、居てくれるんだろ」 隣に、立っていてくれる存在を 自ら壊して喪って、相対した悪夢の何とおそろしかったことか。 そして、 共に添ってくれると知れた今の、何と心強い事か。 「痛みも、苦しみも罪もわかちあってくれると  そう、言うのか? ……お前が、俺に。  なあ、……其れは、  そうまで、してくれる理由を、尋ねても良いのか。」 全てを諾々と赦すことと異なるのであれば 全てをなげうつように、差し出す事とは異なるのならば 問う声は、弱く落ちて 其れでも音として、向いた。 「……… どうして、なんて  正直俺にも、全ては解らん 」 大事で大切で、傷付けずに仕舞い込んでしまいたかった。 其れ以上に、 傷付けて苦しめてでも、共に居たいと、  隣に居て欲しいと、一方的ばかりではない其れを希ってしまった。 「――……ただ、お前が愛おしい。」 それだけだ、と薄く零しては 前髪を書き上げていた掌で、ゆっくりと頭蓋の丸みを感じるように撫で
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長船光忠 20-Aug-04 PM 05:35
当然のように思っていたことのわけを尋ねられて、明確な理由など思い浮かばなくて、 それでも、ひとつだけ、確かなことは。 「理由……なんて、あってないようなものだけど。……敢えて、言うなら。  君がなによりも、大切なひとだから。  ひとりで苦しんで、傷ついてほしくないから。  僕が……他の人じゃなくて、僕こそが、君の痛みを分かりたいから。  ……それで、納得してくれるかい?」 ……諦めたように全てを許して、一度は壊れきった関係を、思いだす。 今は、違う。 今度こそちゃんと、互いを大事に守りあえると、そう思いたい。 「はは、……君には、かなわないなあ……」
いとおしい、のひと言に、胸のうちがじんわりとあたたかくて、 頭を撫でる手つきからすら、その言葉は伝わっていて。 嬉しい、いとしい、そんな言葉の代わりに手を伸ばして、 同じように君の髪に手を、触れさせてみる。
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長谷部国重 20-Aug-04 PM 05:47
ひたりと視線を向けて、言葉を待つ 紡がれる言葉の一つ一つに、鼓膜よりも 心が震えるようで、 「……ああ。」 「お前だけだ。    ……分かち合いたいと、思うのも、  お前の痛みも苦しみも、分けられたいと願うのも、  長船光忠、……お前ひとり、だけだ。」 愛おし気に双眸を細め ソファの上、相対する儘に顔を寄せ、額が触れそうな距離。 「また、そんな事を云うんだな。  ……俺はずっと、お前にかなったことなんて、ないのに」 長い指が、己の髪へ触れれば 薄い触れ合いにも関わらず、安堵を得た。 尚の触れ合いを強請るかわりのように、 手指へ己から頭蓋を寄せ 触れられにゆく
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長船光忠 20-Aug-04 PM 06:07
お前ひとりだけ、と。 その言葉の意味を考えるほど、とんでもないことを言われているような気がしてしまう。 見つめられては、まばたきすらもおぼつかなくて。 「……だって、僕はなんて言えばいいか、わからないんだ。  また、思いを伝えたら、壊してしまうかもしれないって思ってしまったのに、  それなのに…君が、愛おしい、なんて、言うから」 手のひらに伝わる、甘えるように擦り寄るしぐさがあんまりに可愛らしくて、 そう思ってしまえば、もっと触れたい、なんて欲が出て、 頭をわずかに引き寄せて、こつん、と額と額を触れ合わせてみた。 ……これくらいなら、許してくれるかな。
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長谷部国重 20-Aug-04 PM 06:18
「……良いんだ、わからないなら、わからない儘で。  ただ、俺が欲に振り回されて、勘違いを押し付けて、  お前を遠ざけて、…改めて思い知った事が、其れだった。」 「振り払おうとした、あの時の想いともまた違う。  お前が、愛おしいんだ。  色々な表情を見たい、声が聴きたい、  触れたい、    ………なあ、」 触れるばかりではなく、引き寄せられまでして 惑う様に視線を薄く揺らした後、 蜜と鋼の、瞳を間近に見詰め 「どこでも良いから、 もっと触れてくれないか」 耳も眼の奥も、じわりと熱を帯びようとも 伝える事を止められやしなかった。 触合った額に、嬉し気に目を細め。吐息の淡さでわらう。 「お前の、手 ……手でなくとも、  すきだよ、… 全部。」
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長船光忠 20-Aug-04 PM 06:48
「……本当に、何処でもいいのかい」 ほんのりと赤らんだ頬で、ふわりと笑んで、そう求められて、 どこに触れれば、と考えながら、思ったままに手を、滑らせてみる。 肉付きの薄い頬を両手で包んで、 「ご飯、ちゃんと食べて。いつでも、作ってあげるから」 意思の強そうな瞳のかたちを、指先でなぞって、 「藤の花の色。  ……君は僕の色に似るならそれもいいと言ったけど、この色が奪われるなんて、嫌だよ」 張り出した喉仏を、つい、とつついてみては、 「長谷部くんの声は、安心する。君の声は、優しい」 どこに指を運んでも、ただ触れられることが嬉しくて、 淡く笑った君の言ってくれた言葉が、何もかもが、愛しく、あたたかくて、 どうしようもなく喜ばしいのに、涙すら出そうになるのは、どうして。 「っ、……すき、って、こういうこと、なの」
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長谷部国重 20-Aug-04 PM 07:07
温かな手指が、膚が、 何よりも光忠の手というだけで、何処でも触れて欲しくて 押さえていた筈なのに、気付けば強請ってしまっていた 両の手で挟み込まれるように触れられるなどと思わずに はつ、と虚を突かれたような瞬きを、数度 指先が、目許を撫ぜる感触と、紡がれた言葉に 耳の先ばかりではなく、火が付いたように顔へ熱が集う 「……お前の、作る物以外は、なんだって同じだから。  喰うだけ、なら喰ってはいるさ。」 数拍遅れで絞り出した声は、平静と程遠かった。 瞳の色だって、 蜜を煮詰めたような黄金なら、光忠と同じ色なら 己から請うたとて構わない程、良いと思ったのに、 指が咽喉を辿ったことで 言葉にはならず。 「 っ、 ――そん、な  俺だって、お前の声が、……すき だ、」 柔く甘く、低い声が 己の名を呼ぶのが好きで 其の都度幸福を感じる事を、どうやって伝えられるのだろう。 神経を集めに集めたような過敏さの中で、 どうにか落ち着きを得ようと、息をはきだして 「……お前が、俺に触れて、…言葉に、してくれて  それだけで 泣きたいくらい、… 幸せなんだ、いま」 手を伸ばし、己の膚へと触れていた其の掌を捉えてしまおうと かなえば、その掌に己から頬を押し当てるように触れ 何度だって、繰り返しになろうとも 好意も愛も欲すらも、受け入れて伝えたくて。 「好きだよ、 …光忠の、ぜんぶ。  眼も、髪も、手も、声も、お前の柔い心も、臆病さだって強さだって  どうしようもないくらい、……愛おしい。」
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長船光忠 20-Aug-04 PM 07:50
君から望んだくせに、頬に、目元に、喉に、ゆっくりと指を滑らせれば見る間に頬が赤らんで、 けれどもその熱が僕にまで移ってしまったように、かあ、と熱くなってしまった。 「幸せ、だよ。僕も。  君に触れてもらえること、触れられること、  ……ううん、こうして、側にいられるだけで」 一生懸命に伝えてくれる言葉に動く喉を撫ぜていれば、 す、と手のひらを攫われて。 頬擦りをするように、触れてくるなんて、思いもしなくて、 僕だって泣きそうで、声も震えそうだった。 包み隠さない素直な言葉を、どう受け取っていいかすらも分からないのに、これ以上をどう言えばいいのかなんて、分からない。 「ありがとう。ほんとうに……本当に、嬉しい」
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長谷部国重 20-Aug-04 PM 08:14
「俺は、…  きっと、傍に居るだけじゃあ、満足出来ない。  今みたいに… お前に触れたいし、…触れられたい」 皮膚の薄い咽喉を撫でられて、妙に落ち着かないのに 何処かに触れていたくて、とらえてしまった手。 己の頬を押し当てて、ゆると息を逃すようにつき 薄く其の儘擦り付けるようにしてから、 掌へ懇願の口付けめいて。温かな其処へ、唇をただ押し当てる。 自然と伏せる形になっていた藤色を 改めて男の眼へとその視線を戻すように、向けて。 数拍も其の儘、見詰めていたが ふ、と目許を緩ませ 掌から顔を離しては、手も解放し 「 …すまない、  困らせたい訳では、ないのにな。」 如何にも、想いの儘 伝えて触れてと 相手の許容反応に構わず進めすぎるきらいのある自覚はあった。 「愛しているよ、… 俺と共に、生きると  共に歩むと言ってくれて、ありがとう。」 其れだけで もう、この先、生きていけるような気がしていた。 身を離し、ソファの上に座り直し (edited)
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長船光忠 20-Aug-04 PM 09:28
わずか、手のひらに触れた柔らかさに驚いて指先が震えて、 じい、と穴が開くほどの双眸の視線の熱さに、戸惑って息も詰めてしまって、 けれども離れていく温度が寂しくて、堪らず追いかけそうになるのは何とかこらえた。 愛している、の言葉に目を背けてしまったのは、 同じ言葉で、傷つけたことを思い出したから。 「……僕は君に、返せる気持ちなんて持ち合わせてないって、知っているだろう……?  いたずらに君を傷つける答えも、言いたくない、  愛なんて分からないよ、僕には」
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長谷部国重 20-Aug-04 PM 09:54
「……ああ、其れは良いんだ。  お前に、同じ思いを返して貰えるなど、思ってやいない」 溢れ出して止まない想いを、紡いで告げて、 仮令、困惑や拒絶に目を背けられたとしても 「良いんだ。俺が愛されなくても。  俺が、お前を愛している事が変わる訳じゃない。  ……消せる訳でも、無かったからな。」 ただ 傍に居たいと希って、 傍に居てくれると、応じてくれて 全てを分かち合おうと、そう、望んでくれたのだから。 「お前が、心苦しい思いをするなら、  ……言葉にして、伝える事は、堪えるから。  偶に、撫でるくらいは …許してくれないか」 不埒な撫で方はしないから、と軽口めかし 音にならぬ息のわらいを小さく落とす。
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長船光忠 20-Aug-04 PM 11:52
「君が伝えてくれる言葉も、君に触れられることも、嬉しい。  それなのに、君にどうやって返せばいいのか、それが分からなくて、悔しいだけ」 全て理解を示したふりで君が諦めてしまうのが悲しくて、 そんなことを言わせてしまう自分に、腹が立って、仕方ないんだ。 「……愛されなくていいなんて悲しいこと、言わないで」 そんなことを言われては、僕まで悲しくなってしまうから。 眉を寄せて、きっと随分情けない顔で、 どの口が言うかと言われようとも、信じてほしくて、双眸を覗き込んだ。 「ありがとう、愛していてくれること。  本当に、ほんっとうに、嬉しい。  ……それだけはちゃんと、分かっていてくれ」
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長谷部国重 20-Aug-05 AM 12:00
「返さなくとも良いさ、…そんなものは、無理に返すものでもない。  ……お前が、触れてくれて嬉しかった。」 過分な程に、嬉しい言葉を幾つも浴びて 少し、図に乗ってしまったのかもしれなくとも 触れる事をゆるされて、触れて貰える事も嬉しかったと 双眸をほそめてわらう 「悲しい事として言っている訳じゃない。  単純な事実だから、お前が… そんな顔を、  ―――すまない、そんな顔をさせたい訳じゃあ、無かったんだが」 「拒絶せずに、受け止めてくれているだけでも、俺は嬉しい。」 手を伸ばし、拒まれなければ柔く其の頭へ掌を乗せ 宥めるように、ぽんぽんとゆるく撫でようと、して 慣れてる、と端的に零しては薄く肩を竦め手を下ろした。 (edited)
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長船光忠 20-Aug-05 AM 12:20
伸ばされて、けれど中空を掻いて諦めた手を、 そのまま見過ごすことは、できなかった。 両手で捕らえた手をぐい、と引き寄せ、自分の頭に運ばせて、 そのまま撫でるように、動かして。 「慣れてほしく、ないんだよ」 小さく零れたその言葉があまりに寂しそうに聞こえたのだ。 悲しくて、声が震えてしまいそうになるくらいには。 「愛されないことを当然だって、思わないでくれ。  なんで愛してくれないのかって、拗ねてほしいし、怒ってもいい。  君は、愛されるべきなんだから」 ぽつ、と涙が座面に落ちたのは、気付かれていないと、いいなあ。
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長谷部国重 20-Aug-05 AM 12:30
捕らわれた手が、光忠の頭に乗せられるのを驚いたように目を瞠って見ていたが 掌に、ふわと髪の感触を得ては、眉尻を下げてわらい、緩々、頭を撫でる動きを繰り返し 「……お前の、せいじゃない。」 「だから、どうか …ああ、……そうか、  ―――…痛みを、感じてくれているのか。俺の」 どうか、傷付かないでと言いかけて 分かち合おう、の声を思い出す。 呼気をこぼすような無音のわらいを、また零し 「駄々をこねてみせたって、愛される訳じゃないだろ。  困らせるだけだ。  先程、お前だって困っていたろうに」 持ち合わせがない。わからない。 そう、紡いで困っていた姿を、目の前で見ている。 「……良いんだよ。  俺は、お前を愛している。それで、良い。  無理に返して貰おうなんて、もう思ってないんだ」 大丈夫、と宥める柔さで言葉を紡ぎ。 緩々と頭を撫でていた手を頬へ滑らせて 綺麗な瞳から、溢れた雫を指腹でそっと拭おうと、して。 (edited)
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長船光忠 20-Aug-05 AM 12:56
「……そう、だね。困らせられたし、僕にはどうしようも、できないよ。  でも、君が聞き分け良いふりをするのが嫌で、愛してくれって、ちゃんと言ってほしくて」 そうだ。僕のせいだ。 返されなくていいと、愛されなくていいと、諦めさせたのは、僕で。 なら、愛してくれる人を、と考えて浮かんだ顔に、かぶりを振る。 「……君の隣にいるのが、僕じゃなくて眞白くんなら、君は愛されて幸せなのかなって、そう思ったんだ。  なんの衒いもなく、君のことを大好きだって言える彼なら、って」 優しく目元に指が触れられて、ばかみたいだ、なんて思った。 子供のように駄々をこねているのは、一体どちらか。 ぐず、と鼻を啜って、ひとつ、息をつく。 なんて傲慢だろう、と自分でも思うのに。 「でも、嫌だ……、君の隣にいるのは、僕がいい」
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長谷部国重 20-Aug-05 AM 01:08
「…… はは、 」 乾いた笑いが、落ちた。 「お前、 ……、おまえが、  ………、俺を、 体よく、てばなす のか」 僕じゃなくて 彼なら 要らないのだと、明瞭に言葉にされるよりも 彼方のほうが、お前の為に良いんだ、なんて 頭に乗せた手から、力が抜けてずるりと落ちる。 視線が落ちて、聴覚と意識が、何処か遠くに在った 大事な人が泣いている気配ばかり知れるのに 何を言われているのか、いまひとつ判然とせず 「 どうしたら、      存在を、おまえに 」 赦してもらえるんだろう。 平衡感覚が失せたように頭蓋が眩む。 俺が俺である以上、どうしようもない事なのか。
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長船光忠 20-Aug-05 AM 01:23
あたたかい手が、力なく落ちて。 瞳がぼんやりと虚を見つめていて、 それなのに、やたら哀しそうに、笑うから。 「っ、手放せないから、困ってるんだよ!」 ぐ、と少しばかり強引に肩を引き寄せたら、ごつん、と鈍い音がして額同士がぶつかって、 でもそんな痛み、どうでもよかった。 「君が僕以外の人の隣で生きるのが、  どうしてか分かんないのに、どうっしても、嫌だから、  なのに僕じゃ、愛せないから、どうしたらいいのか、もう、分からなくて」 「君と生きたい、僕は長谷部くんじゃなきゃ、嫌なのに!  でも僕じゃ、愛も、子供も、家族も、  長谷部くんが本当にほしいもの、なんにもあげられないんだ……!」
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長谷部国重 20-Aug-05 AM 01:32
ごつん、と 額同士が打ち合う衝撃と鈍い痛みで 我に返る心地。 言い募るその言葉をぼんやりと聞いて 漸く、ああ 誰かに譲渡されるような事が、無いのかもしれないと。 鈍々と回る思考で、漸く理解する。 「……なんで、  俺を愛せない事で、お前が、そんな  痛そうな顔を、するんだ…… ?  」 止まりがちだった息を静かに吐き出して、 力のない視線を、間近な蜜と鋼に向ける 「愛せない事で、苦しまなくて良い。  愛も、子供も、家族も、構いやしない。  ―――俺が欲しいのは、……お前だけだよ」 嗚呼 一緒に生きては、くれるのだと 痛切な叫びの中に、知れてしまった。 場違いな程、嬉し気に藤色を細くさせ 「お前が、… 長船光忠が、俺と生きてくれるなら  もう、それだけで良いんだ。」
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長船光忠 20-Aug-05 AM 01:56
「君にもうなにも、諦めてほしくないんだよ。  聞き分け良いふりを、しないで、くれ」 両目をそろそろと覗き込まれて、息が上がってしまっていたのを自覚した。 ひどい言葉をぶつけてしまった。 剥き出しの感情なんて、ぶつけられても困らせるだけだと分かっているのに。 「っ、わかってる、ずっと君は、そうやって言ってくれているよね。  僕の側にいたいって。  分かってるんだよ。  僕でいいのか、なんて悩んでるのは、僕だけなんだって」 ふ、と柔らかく笑んだのが、あまりに優しくて、嬉しそうで、 全身から力が抜けていく心地だった。 額を少し離せば、まだじわじわと熱を持って痛んでいる。 「……ごめん、どうして僕が泣いてるんだろうね。  訳分からない我儘ばっか言われて、泣きたいのは、君のほうだろうに」 痛くなかったかい、と指を額に伸ばす。 冷やしたほうがいいかもと思いながら、離れがたくて、離れられない。
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長谷部国重 20-Aug-05 AM 02:08
「……与えないって、明言している癖に、  欲しがらせたいなんて、… 酷い男だな、お前」 僕じゃ、愛せない 困らせられたし僕にはどうしようもできない つい今しがたの言葉は未だに耳に残っているのに 「俺が、愛してくれって泣き喚いて、  諦められないって、手を伸ばす姿が見たいのか?」 視線を伏せて、浅くわらった。 良い趣味、してるなァ なんて 声に出して紡いでみても、嫌悪も湧かない。 「……泣いたりしないさ、… 余計に困らせたい訳じゃない。」 緩慢に手を伸ばして、己は、額では無く 其の頭蓋へ掌を宛がい、また、緩く撫で始め 「あのな、光忠。  ……お前にとって、愛している、って何なんだ?」 「そうも無理と重ねるからには、  お前が想う愛し方があるんだろう、…教えてくれよ」 くださいなんて、言わないから。 額へ伸ばされる手を払う事などせずに、目を伏せる。
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長船光忠 20-Aug-05 AM 02:24
「……酷いと、思うなら、嫌えばいいだろ……。  矛盾ばかり言っていることくらい、わかってるよ、  ……だから、どうしていいか、分からないのに」 軽く、そのくせ優し気に笑い飛ばされてしまっては、 むう、と拗ねている僕だけが子供のようで居た堪れない気分になる。 そのまま、宥めるように頭を撫でられてしまえば、猶更。 難しい問いをされて、けれど答えは迷わない。 ゆるり、と被りを振るだけだから。 「……愛しているつもりなのに、僕のこれは愛じゃないって、分かってしまって、  じゃあ何が愛なんだろうって、思ってしまった」 分かっているなら、できるはずなのに。 なんの迷いもなく、愛してあげられるはずなんだ。 「教えてよ……君は、分かるんだろう。」
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長谷部国重 20-Aug-05 AM 02:40
「……酷い事って自覚はないんだな。  まあ、……お前になら、良いさ。何を言われようが。」 ご所望の醜態は晒す気になれなくとも 無邪気とも言えよう言葉の刃位は、受け入れようと決めている。 宥める柔さで撫でていた頭は、 被りを振る動きに手を外し、落とした。 「僕の是は愛じゃない、って どうしてそう思うんだ。  理想の愛し方と違うから、愛じゃないって  そう、思って、ずっと否定しているのか?」 ソファの上、座り直して 体ごと半ば相手と向き合うように直る 「俺は、お前が愛おしいよ。  離れ難くて、お前が傍にいないと、  屹度もう生きていけないとも 思う。」 「……傍にいたい、彼方此方へ触れたい、  触れて欲しい、… お前の顔が見たい。  泣き顔も、笑う顔も等しく、全て愛おしい。    共に生きていくなら、お前以外を考えられない。」 見据えると称するには、柔くなる 途方に暮れたような様子すら、愛おしいのだから、 ずっと、降参しっぱなしなんて いつか述べた言葉を思い出す。 「もう、執着に拘泥して、お前を繋ぎ留めたいだけで  足掻いている訳じゃあ、無い。  ……お前の全てをこいねがう気持ちを、俺は愛と判じたんだ」 生じた様々欲も全てひっくるめて受け入れて 今度こそ、恋情も含めた愛だと言える。 愛を教えるのではなく、己の其れを伝えるだけとなったけれど 濡れた眼を見返して、薄く首を傾ぐ。 お前は、どうなんだと。 (edited)
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長船光忠 20-Aug-05 PM 02:12
「っ、……君は、本当に……」 僕を強く射貫く視線の熱さに、 丁寧に、思いの丈を乗せてくれる言葉に、 まるで心臓を焼かれるような心地で、顔が赤らむ。 どうなんだ、と問われて、迷いながら、息をついた。 どう言えば、君にこの思いを、伝えきれるのだろう。 「僕だって、君にそばに居てほしいし、離れたくない。  触れられたくて、触れたくて、求められることは、嬉しい。  君と生きたい。君に、僕を望んでほしい」 言うべきなのかと躊躇って、けどそれ以外など思いつかずに、声にする。 「……君が、大好き、だからだ」 「すき、なんだ。それだけは、本当。  君のためならなんだってできる。  毎日ご飯を作るのだって、あの時みたいに君の手の代わりになることだって苦じゃないし、  君の代わりに苦しめるなら、……君の代わりに、死ねるなら、それだって本望だ」 一度は拒まれた言葉を口にするのは怖くて。 視線を迷わせながら、唇を動かしながら、どうしても声が、震えた。 「君から貰ってばかりで、僕はなんだって差し出してしまいたいのに、  ……でも、君はそうして欲しいんじゃないって言っただろう。  君に負担に思わせて、君を苦しめる思いを、  僕は愛なんて呼びたくない」
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 02:42
染まる顔へ、愛おし気に藤を細め 言葉を全て聞き終えてから、躊躇いの間を挟んで ほつほつと、紡ぎ出す 「……俺が、寄りかかり過ぎたのか、  甘え過ぎたためなのか、或は、  お前に、何一つ負担させぬようにした、せいなのか」 「俺を赦すばかりのお前に、何もかもを差し出されて  俺は、 ……お前が俺を、みていないように、思った」 嗚呼 そうも遠い日の事ではない 愛を告げて返されて舞い上がったあの日を未だ覚えている。 けれど、少し頭蓋の中身が冷えてから改めて考えた時に 重なるように思い浮かんだ 、過日の列車。 哀しく微笑む 光忠の顔をした男の姿。 「実際に如何だったかなどは、俺にはわからないのにな。  俺も、お前の事を離したくなくて  如何にかして、傍に繋ぎとめたくて、囲いたくて  執着と不安で気が狂いそうだった…… 」 ひたりと向けていた視線を伏せ、緩く息を逃すようについて 「結局俺は、お前ではなくて、己の心しか  不安しか、見詰めていなかったんだ。   お前の事をなにひとつ詰れやしない。する心算も、ない」 「お前が、俺の全てを赦して受け入れて差し出して…  俺の何もかもをなんでも全部ゆるしたい、って  ……其れじゃあ、駄目なんだって、言ったんだろう、お前」 そう、 此処に来てから互いに漸く気付いた事だった 全てから守るだけでは駄目なんだと 全て受入れるだけでは駄目なのだと 「今、俺がお前に抱いている情を愛ではないとは、思えない。  不安を取り払って見詰めた上で、俺はお前が欲しいと思う。  ……なあ、  お前が、お前の意思で、心で織り上げて差し出す其れで  俺は苦しんだりは、しない。」 だから 「愛と、お前が判じた上で  お前の心を、俺にくれよ」 この世の何よりも、其れが欲しいんだと 掠れた声は、懇願の音となった。
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長船光忠 20-Aug-05 PM 03:24
「……僕は、君を、生かしたかった。  目を離したら、すぐ、見えないところにいってしまいそうで、  っ、……ちがう、それも言い訳だ……」 愛してると、言われたから。 この執着めいた思いに愛だと名付けていいのだと勘違いして、 返したその言葉は、どこにも届かなかった。 「怖いんだ、君が、いなくなるのが……。  どこにもいかないでほしくて、だから、  君の望む僕であろうと、必死で……。  ……僕も、結局ぜんぶ、利己的な理由だったのかな」 僕を望んでくれる、切なげにすら聞こえる声を、どうしてこうも愛しいと思ってしまうのだろう。 「長谷部くん、……」 はく、と口を動かしては、閉ざして。 言ってもいいのか、君にあげられるのか、さんざ迷って。 「……っ、はせべくん、  あ、……愛して、る、  ……君に、愛してほしい、し、君も僕に、愛されて、ほしい。  僕の心なんて、……とっくに、ぜんぶ、君のもの、だ」 それでも、今度こそ伝えたいと、唇にのせた声は、ひどくうわずってしまった。 ……かっこわるいな、僕。
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 03:45
「お前と共に、横並びで進むだけなら  …屹度、利己的な気持ちだろうと、  不安をぬぐうための執着だろうと、良かったのかもな」 実際、何一つ良くなんてなかったけれど 互いを見ずに進むだけなら なんとかなってしまったんだろう 「お前と、共に生きていきたいんだ。  何からも閉じ込めるように守るのではなくて  共に傷を受けて痛みを分け合って良いと言ってくれた、お前と。」 「お前の苦しみだって、俺は知りたい  俺を繋ぎとめておきたくて藻掻いた其の苦しみだって、  俺には、堪らなく愛おしいから。」 手を伸ばし、両掌で震える頬を柔く挟もうとして 少しの躊躇いを挟んでから、触れる。 手放して忘れて諦めて どれだけ捻じ伏せても 心の奥底で切望してやまなかった、愛を 震えながら心を剥き出しに紡いでくれる其の唇を そっと指腹で撫ぜるように触れ   「……愛してるよ」 彼是と回る口の癖、 愛を返す言葉は酷く短くなった。 両手で挟む様に触れる儘、 顔を寄せて、指を退けて、淡く唇を重ねようと添わせ。 触れる直前で、堪えたように止まる。 「 みつただ、」 ――触れたい、 いつか、髪へ触れる時にも問うた其れを 切願の囁きでほろと零し 金と銀を見詰める藤が濡れた。 未だ、逃げられるように 抑え込む手とならぬように、指が震える。
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長船光忠 20-Aug-05 PM 04:11
「……もう、思っていないから。  君を失う怖さだけで、もう君に嘘をつこうなんて思わないし、  君は共に生きるって、言ってくれただろう。  だからもう、怖くないし、苦しくない」 頬に触れた手があたたかくて、 戯れるように、頬を寄せてみる。 唇を愛おし気に撫でられて、 不器用で、けれど優しくて、熱い言葉に、息が詰まりそうになって。 「っ、……僕、も……愛している、よ」 震える声で、途切れそうになって、 けれど同じ言葉で返せることが、僕にとってどれだけ嬉しいことか、君はきっと知らない。 吐息が絡むほどの距離で視線に射貫かれ、 名を呼ばれて、……求められては。 肌に伝わる指の震えがどうにも愛しくて、握りこんで、そのまま。 きっとどうしようもなく緩んだ唇を、静かに触れさせた。
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 04:28
何処か恐々とも振れた頬を、 押し当てるかに触れてこられて ああ、と感嘆とも何ともつかぬ声が薄く零れる。 愛している それだけの言葉が それだけを紡ぐ心が、なによりも欲しかったのだと 諦めきって凪いだ筈の心が震えて 如何仕様もない 握り込まれた指を解かぬ儘、 最後の距離を詰められて、触れた唇へ背が震えた。 握られておらぬ方の掌を、頬から頭蓋へ滑らせて 後頭部を支え持つかのように掌を宛がい 一度、僅かだけ離した唇を己から改めて押し当てる。 唇の柔さを感じる様に、押し当てては薄く離れ 亦少しだけ角度を変えて触れさせて、繰り返す 確かに此処に居るのだと 愛おしい男が此処に在る事を確かめる様に、幾度も 繰り返す中で、みつただ、と込上げるように名前を呼んだ 開いた唇で形の良い下唇を食んで、 舌で綴じ目を抉じ開けようとした、寸でで止まる。 熱色で染めた顔を惹き剥がすように離れ 色づいた己の唇を舌で薄く舐め拭い、 は、と息を零す。 「 ぐちゃぐちゃに、 しそうだ」 衝動が湧いて、沸いて止まらない 空調の効いた室内で、熱は 籠るばかり
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長船光忠 20-Aug-05 PM 04:51
ひとつ、柔らかさを知って、確かめ合って。 やっとこうして触れることができた、と喜んで。 ……それだけの、つもりだったのに。 まるで捕らえるように頭を引き寄せられて、 離れたのもほんのわずか、何度も、なんども、触れては離れ、また触れられて。 困惑して、握りこんだはずの君の手に必死に縋り付いて、 けれども拒めなかったのは、驚きながらも、嬉しかったからだ。 何度も押し当てられる唇の薄さが愛らしくて、 吐息交じりに名を呼ばれるほどに、心臓が呼応するように跳ねて。 いつしか僕からも求めるように、唇を薄く、開いていた。 あたまの中が、靄がかかったようにぼんやりと熱がこもって、 血色のいい舌が唇を這うのを、美味しそうだ、なんて思ってしまって。 掠れた声で告げられた、その瞳が、見たことのない色を滲ませている。 「ぐちゃぐちゃ、に……」 されたい、と思ったと同時に、とんでもないことを言われている、と知ってしまって、 かあ、っと熱が一気に回ってしまった。 突き放そうとした腕さえも、縋り付いてしまうだけなのだから、あんまりに無意味だ。 「ぁ、……だ、駄目……  いま、僕……かっこ悪い、から……」
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 05:07
漸く手に入れた、 この世で一番欲しかった、ものを前に 愛おしさだけでは表せぬ衝動が湧いて 煮える 身を離したのは崖淵の理性 なのに、 眼の前で、拒まぬ処か 己に縋り付く様に、赤らむ様子に 常には冷えた色にも見えよう藤色が熱へ沸く 僅かに身を離したとて、近しい儘 男の後頭部へ宛がい添わせた掌すら、その儘だ 「―――……なにが、駄目なんだ」 己で離した癖、再び顔を寄せて ちゅ、と淡い水音と共に唇を啄む様に触れ 「なんで、駄目なんだ  ……くれるんだろう、全部 」 間近で息を吸い込めば 己とは異なる馨にすら眩む心地 赦しの声を待つ犬のように、 いつまで大人しく居られるか知れない なぁ、と薄く掠れる声が 熱と甘たるい強請りを共に孕む
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長船光忠 20-Aug-05 PM 05:29
鼻が触れ合いそうな近距離で、熱く吐き出される吐息もそのままに、 他でもない君の熱を帯びた声で求められる喜びに、思考すらもままならなくて。 「っ、……だめ、じゃない、」 小さく弾けたリップ音に、背筋が震えた。 触れられたところ、触れたところ、 全部が融けだしそうに、熱い。 鼻先に吐息が触れるほど、掠れ声に鼓膜が揺らされるほど、喉が渇くような気がして、 こくりと唾液を飲み下しても、……足りない。 「でも、僕も、……君が、ほしい……」 言いきらないうちに、薄く開いた唇を、 濡れた赤色にそっと、寄せてみる。 (edited)
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 05:48
駄目じゃあ、ない。 その音を耳にした瞬間に、また体が動いてしまう こく、と微かに鳴った咽喉にすら反応し 視線が一度、下がる けれど直ぐ、間近な蜜と鋼に戻っては 何是を考える余裕もなく、 首を傾げる様な角度で、明瞭に開いた口で 薄らと開いた唇を塞ぐように合わせにゆく 差し出した熱い軟体で唇表面を撫ぜ 口腔内へ躊躇い無く差し入れては唇裏を探り 形の良い歯並びを辿る様にと、 形一つ、味ひとつを確かめる様な 動き は、と時折濡れた息が合間から零れ 「……俺の なんでも、お前の ものだ」 頭蓋へ宛がう掌と、背へ回す手がどちらも熱い。 口腔内を味わっていた軟体で、 相手の舌表面を撫ぜ、絡め取っては緩く吸い上げて 唾液を啜り、飲み込もうと欲する
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長船光忠 20-Aug-05 PM 06:14
唇が触れ合って、それよりも、さらに深く。 口内の全て、探られるように熱が這って、 ん、ん、と声が漏れてしまうのが抑えられない。 粘膜同士が触れ合うのは、まるで融け合って、混ざり合うような心地だった。 呼吸ひとつ覚束なくて、息を切らしながらも離れがたくて、 はふ、と唇を掠めた君の吐息すら、零してしまうのが惜しくて。 「う、れしい……。  僕も、君のものだよ、はせべくん」 じゅ、と音を立てて吸い付かれて、堪らず肩に縋った指先に力が籠った。 絡みあって離れていく熱を追いかけて、 唇をぴったりと重ね合わせて、塞いで。 真似するようにと舌を差し入れた口内の熱さに、驚かされる。
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 06:35
くぐもった、短い音が 触合せる粘膜越しに響く もっと聞きたくて、熱を孕む粘膜を尚、擦り 「……ああ、  お前の、匂いも、味も …全部。  俺の、ものだ。」 俺のものと、する事を赦されて 心をも、得た如何仕様も無い昂揚で 如何にかなって仕舞いそうな心地 軟体を絡ませ捕え吸い上げては 己からではなく塞がれて 背が薄く震える。 何処か恐る恐るの風情で差し入れられた舌を触合わせてから 一度顔を離しては、糸引く唾液を舌先で絡め取り 「 みつただ、 」 名を呼んだ儘 ぁ、と自ら口を開き、軟体を差し出して 好きにしろと示す様にして、迎え入れの姿勢を取った。 (edited)
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長船光忠 20-Aug-05 PM 07:15
てらりと光る濡れた舌先や、僕の名をなぞる唇の赤色が目を引いて、 みっともないほどに息が浅くなって、 ……ほた、と、こめかみから汗が流れて、落ちるのを感じる。 愛しい声で名を呼ばれて、どこからでもどうぞと据え膳よろしく構えられて、 どうしてしまおうかと、考えて、けれども何よりも、全てを託してくれているのが、 あんまりに愛しくて、嬉しくて、可愛くて、仕方なかった。 「は、せべ、くん、」 手を伸ばして、腕の中に、すべて抱き込んでしまおうと、 肉付きの薄い肩を、細い腰を、ぎゅう、と二本の腕でいっぱいに、包み込んで。 「っ、すき……好き、だよ、長谷部くん。  全部好き、大好き。  いとしい、……かわいい」 キスもいっぱいしたいけれど、 それなのにどうしても言葉が、感情が、溢れてくるのが、止められなかった。 ぎゅうぎゅうと、痛いくらいに力いっぱいに抱き込んで、言葉に感情を託して、 それでも伝えきれなくて。 「どうしよう、はせべくん……好き、あい、してる……」
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 07:44
何処からでもと差し出した其れが 唇へ納められることは無く、 体が、腕の中に収められて、はつりと瞬く 己よりも少し大きな体に抱き込められて 抱き締められるだけの事が、こうも安堵を得るのかと 体の力を抜くような息をつく。 「……、ん  嬉しい、……愛してるよ、光忠」 腕を其の背へと回して抱き返しながら 男の肩口へと蟀谷を懐かせる様に擦る。 向けられた言葉にじわ、と幸福を得て 余りにも慣れぬ言葉にすら、反論を紡げない。 肩口に擦りつけていた頭蓋をふと上げ 大人しく舌を戻した口で間近な頬へ唇を押し当て 昔よりも広くなった背へ回した腕にまた、改めて力を籠めて。 「 こうふくで、しんでしまいそうだ」 ひそり、 堪らずに零す囁きが喜色に満ちた、 (edited)
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長船光忠 20-Aug-05 PM 09:15
あいしてる、と柔らかい声に囁かれれば、自然、くすくすと笑みがこぼれて、 こうして腕の中に大切な人がいることが、ただ、嬉しい。 腕を背中に回されて、抱き締め返されて、 伝わってしまいそうなほど、鼓動はひたすらさわがしいけれど、 どうしようもなく安心してしまうのはどうしてなんだろう。 「ふふ、本当に、すごく、しあわせだ。  このままずっと、こうしてたいくらい……」 頬に触れた、くすぐったいほどやさしいキスのお返しに、と、 すぐそばの耳の先に、唇をちう、と触れさせてみる。 「ありがとう、はせべくん」
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 09:30
煩い程の鼓動が 己だけではない事を衣服越しに知る 煮え立つ様な欲動が抱き合う事で宥められ 是以上ない程近しい距離に充足を得た 「ん、……もう、今日は何処にも、行きたくないな…  お前に、ずっと、居て欲しいし 傍にいたい」 家具も家電も回収に行く事を放棄して 漸く得た愛しい人を感じていたくて、むずがる様に零す。 獣じみた所作で肩口に甘えていれば 耳朶へ受けた柔い感触に、びくりと跳ねた 「 ッ、……  お前の、声は好きだが ……心臓に、悪いな……」 柔く甘く、低い声を直接ふき込まれたようで ぞく、と背を震わせてから恨めし気に至近の蜜色を見返し 「……あと、耳はやめろ」 頼むから、と小さく添えて再び肩口に顔を埋める事で逃げる。
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長船光忠 20-Aug-05 PM 09:53
肩口にゆるゆると擦り寄られて、 頭をそっと抱き込んで、細い髪を指で梳く。 甘えるような口ぶりで求められれば、断る以外の選択肢はあるわけがなくて。 「いいよ、どこにも行かない。ここに居る。  僕も、一緒に居たいな」 戯れるように触れただけなのに、思いがけない恥ずかしがるような反応で返されて、 思わずすこし、目を瞠ってしまった。 けれど、睨むような目つきもかわいらしいばかりで、 たまらず、くす、と笑ってしまって、 悪戯心にまかせて、逃げ出した耳元にまた、唇を寄せた。 「どうして?  ……好きなんだろ、こうされるの」 すこし、声のトーンを落として囁いて。 擦り付けられた頭の反応を、伺ってみる。
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 10:10
「……気持ち、良いな……  お前の手、腕も……安心する」 普段、頭を撫ぜられる事などほとんどない ましてやこの年齢であれば、猶更 さら、と直毛を梳き撫でられて心地よさそうに目を細め ソファの上、座面に足も乗せる形で座り直しては 少しの距離を更にと削りにゆく 「……泊まってけよ、… 服は、まだあるから」 夜に別れ見送ることが、耐えられそうにないと まとめただけで棄てずにある服を思い出して言い添える。 小さなわらいの音にすら、薄く肩を揺らし 肩口に埋めたとはいえ、耳朶は剥き出しの其処へ 常よりも低く落とされた声に つい身を揺らして仕舞う。 抱き返した儘の手が、背の布地を掴み 「……ッ、…――止め  止めろ、本当に… お前の声、ヘンになるから 俺が、」 過剰な反応を、遊ばれていると 染まった顔を背け 何時もの様に口が回らず、支離滅裂気味に言葉を紡ぐ 先までは後頭部へ添えていた手で、囁きを吹き込まれた側の耳を塞ぎ 「っ眞白と いい、お前といい  ひとで、遊ぶな…」
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長船光忠 20-Aug-05 PM 10:40
「……そう、なの。じゃあ、お言葉に甘えようかな……」 大物の家電や家財をすてられて、随分がらんとした部屋の中、 まさか疎遠になった人間の服を律義にとっておいてくれているとも思っていなくて、 ……何かしらの未練のようなものを持ってくれていたことに少しだけ喜んでしまったのは、秘密にしておくことにした。 手の中に抱き込んだ頭は、僕のほんの悪戯で大げさなくらいに跳ねてしまって、 驚きながら顔を見れば、また可哀相なほど、真っ赤になって。 口をもつれさせる様子にすらただ驚いて瞬きを繰り返して、 けれども、せめて耳を守ろうとする可愛らしい仕草に、ふふ、とまた、笑ってしまう。 「変になるって、ふふ、いいのに、なっても。  かわいいな、長谷部くん」 眞白、と君の口をついた名前に、ちょっとだけ胸がぴりついて、息が詰まって、 けれどよく分からないまま、ふふ、とまた笑ってごまかしておく。
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 10:52
「……ん、そうしてくれ。 あ、… 否………――」 泊ってゆくとの返答に嬉し気に目を細めるも はたと思い当たる事に狼狽の声を漏らす。 視線を揺らがせた後、少し気まずそうに 「布団は、無い、んだが。   ……お前が構うようなら、俺が此処で寝るから」 客用の布団を捨てていた事を白状し 此処――ソファで眠るからと、 其れを理由に帰らないで欲しいと 切に。 「……どうせ、笑うだけだろう お前。  なんでそんな、俺の醜態ばっかり見たがるんだ」 嗚呼、また笑う声がする 本日の、想いを通じ合わせる前の遣り取りを思い出して 惨めな姿を、所望されている理由がわからず 視線を伏せる 耳を塞いだ手を一度キツく握り込んでから 胸の軋みを誤魔化す様に緩々と体の力を抜いて。
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長船光忠 20-Aug-05 PM 11:12
「……君が嫌じゃないなら、一緒にベッド、でも……。  っ、いや、窮屈かな、さすがに。  そんなら僕がソファで寝るから、大丈夫」 抱き締めあって夜を明かせたら幸せだろうと、そう考えて、 けれどもやはり、と考え直して早口に否定を重ねる。 恋人同士、同じベッド、なんて、と僕だけが考えすぎなのかと思ったりも、して。 ……やっぱり帰れとは言わないのだから、それだけ許されてると、信じたいけども。 「揶揄ってるんじゃないよ、だって、どんな表情もたくさん見たくて。  ……それに君だって、僕の恥ずかしい顔、十分見てるだろう?」 抱き締めたまま、声だけでは表情はうまく読みとれず、 力んだ背中を数度撫でながら少し不安になって、拗ねてるの、ごめん、と投げかける言葉が弱気になる。
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長谷部国重 20-Aug-05 PM 11:30
「……、一緒に 寝てくれるのか」 一緒に、の声を受け思わず重ねる様な性急さで問うてしまった 続く言葉を受け、ぁ、と零しては躊躇の間を挟んで 一度頷きかけるも、首を横に振り 「何も、しないように…するから、  俺は、お前と一緒に寝たい。……駄目か……?」 疾うに成人済の男二人では狭かろうとも 恋人となった今、離れて眠る事も選びたくなくて 欲は勿論沸いて仕舞うだろうとも、堪えるからと 窺う様な音で、赦しを請う。 「与えない癖、欲しがらせるのが  そんなに好きか、お前……」 先程は平然と言葉を交わし遣り取りをしたというのに 今となっては薄くも声が揺らぐ始末。 背を撫でる大きな掌に宥められて、 誤魔化すように再度、肩口に顔を埋めるように寄せた。 「……拗ねた、訳じゃない。」 己を求められている前提が如何したって希薄で 一々、神経をひりつかせて仕舞う。 「お前の声も、唇も …厭な訳じゃない。  ただ、… おかしくなるのを、  お前に哂われるのは、 …、  」 嫌だ、も 好きじゃない、も 妥当なようでいて違和があった ややあってから、 つらい、と極薄く零し。
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長船光忠 20-Aug-05 PM 11:52
食いつくような返答に、やっぱり一度驚かされて、 けれども少しばかり不安げな声で問われれば、駄目、なんて言えるはずもなかった。 「ん、……君が、いいのなら。  僕も、君と一緒がいいな」 したいというなら、別に、と言葉を零しかけて、最後までは言いきれなかった。 考えられないわけじゃない、けど。 何を考えているのかとも、思われたくなくて。 「そんなつもりじゃ、」 ひどく不安げな声に、弱気に甘えるような仕草に、 せめて安心させようと背中を撫でおろして、 もご、と肩のあたりで籠る言葉に耳を傾ける。 「ばかにしてるわけじゃ、ないんだよ。  ……でも、ごめん。かわいいからって、調子にのった。  もう君の嫌なことは、しないから。  ごめんね。……教えてくれて、ありがとう」 恥じらう顔が、あまえるところが、もっと見たい、なんて自分本位な悪戯で傷つけてしまった。 つらい、と零された小さな声に、胸の奥が痛かった。
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長谷部国重 20-Aug-06 AM 12:12
「……抱き締めさせてくれ。  お前が、ちゃんといるって感じながら、寝たい」 ともすれば心臓が煩くて 一睡もできない可能性もあるけれど。 「お前が 赦してくれるなら、 」 触れたい、と ひそり、潜めた声で添え。 先程堪えるからといったばかりの癖に、悪びれる色は無かった。 「……可愛い、って ……お前まで。」 かっこいいだの狡いだの、 散々聞かされてきた中に、そんな形容詞無かっただろうと 同輩からばかり浴びせられている言葉を、 この男に言われると妙に落ち着かない心地となる。 肩口から、のろ、と顔を上げ 未だ赤色が滲む顔の儘、光忠の顔を覗き込む様に見詰め 「……俺は、お前の事が好きだから、  お前にとっては気軽でも、  あんな声を出されると ……、その、だな、 」 覗きこんだ癖、言葉を濁す段になっては視線を落として   「……お前が困る事に、なるから。」 とはいえ、 揶揄の心算がないとなればどちらも決して嫌いではなく 寧ろ際限なく求めて仕舞いそうな程には、弱かった。 躊躇う間と、視線の揺れを挟んでから、ひそりと耳打ちの淡さで 「与えてくれる気になった時だけに、してほしい」 責任とれよ、と 誤魔化す様に添えてから身を離した。 空調のきいた部屋の中で、矢鱈とあつい。 「色々掃除したせいで、何もないからな、  ……買い出しに、付き合ってくれ。」 食材処か冷蔵庫がない有様。 これ以上此処に落ち着いていてはまずいとの思いも併せて 逃げるようにソファから降りようとして
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長船光忠 20-Aug-06 AM 12:37
小さな声で、恥じらうように求められて、嫌なはずもなくて。 目を細めて、こちらもひそやかに、ああ、と首肯する。 上目に見上げられるのが可愛くて、背中に添えた手は離さないまま、見つめ返す。 歯切れ悪く告げられる遠まわしな言葉に首を傾げるほど、もう子供でもない。 好きだと、……欲を持って見られているということを、軽く見ているつもりはなかったけれど、 もっと慎重にならなければ、とひとつ、深く頷いた。 「可愛いんだもの、本当に。  でも、……分かった。  本当に、ごめん。君に意地悪してしまったね」 それでも、躊躇うように、恥じらうように告げられた言葉に、 どうしようもなく胸が高鳴ってしまったのもまた、事実で。 「あの、……心の準備ができてないだけで、  その気がないわけじゃ、ない、から。  ……ゆっくりになるかもしれないけど、待っていて」 抱き締めた身体が離れていくのが随分久しぶりな気がして、 すう、と身体が冷えるのが寂しい、なんていったら笑われてしまうだろうから、 伸ばしそうになった手は何とか堪えた。 「髪だけ整えるから、ちょっと待って、」
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長谷部国重 20-Aug-06 AM 12:44
髪だけ、と言う相手を尻目に、さっさと玄関口へ向かう足。 何だかんだ支度を待ってから階下へ降りて 回収前の冷蔵庫だけでも運べないか、とか 直ぐに、矢張り買い替えたほうがと早々に諦めたり そんな遣り取りを交わしたのかもしれない。 幸福そうに目を細め、笑い合って。 マンションから、声が遠ざかって行った―――
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